不動産鑑定評価基準において求めるべき賃料の種類として、新規賃料と継続賃料があります。
新規賃料・・・・・新たに不動産の賃貸借を行う場合に求める賃料。
継続賃料・・・・・現在継続中の賃貸借における賃料。
※契約当初の新規賃料がそのまま据え置かれていたり、賃料改定が行われて長期間据え置かれていたり、あるいは、賃料改定が頻繁に行われていて、新規賃料の賃料水準を保っているもの等様々なものがあります。
メモ
近年、地代・家賃を巡って賃貸借契約当事者間での紛争が数多く起こっており、訴訟にまで発展するケースも見られます。昨今の世界的な金融危機に起因する実体経済の悪化と不動産市況の低迷による地価下落を考えると、当該紛争は今後増加の一途をたどるのではないかと思われます。賃貸借契約は契約自由の原則により個別性が強く、賃料も当事者間の個別的事情を反映して定まるのが一般的です。さらに、継続賃料は遅行性及び保守性を有していて、不動産の経済価値に即応した適正な賃料から乖離しがちとなります。従って、不動産鑑定評価基準におきましても、継続賃料を鑑定評価する場合に、「契約の内容及び契約締結の経緯」「賃料改定の経緯」総合的に勘案すべきこととされています。
賃料評価が必要となる主なケースとしては以下のものが考えられます。
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賃貸人、賃借人以外の第三者による公正な地代・家賃水準が必要な場合
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国や地方公共団体等が所有する土地・建物を賃貸する際に、適正な地代・家賃での賃貸を行うことの証明とする場合 |
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周辺の地代・家賃相場が形成されておらず、適正水準が把握できない場合 |
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特殊な用途に係る建物の賃貸借で、家賃設定に専門家による判断を要する場合 |
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更地価格との関係において相当地代であることの証明とする場合 |
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賃貸人、賃借人以外の第三者による公正な継続地代・家賃水準が必要な場合 |
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地代・賃料の増額または減額交渉の参考とする場合 |
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契約更新時期において適正水準を把握する場合 |
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市場水準との乖離を検証する際の参考とする場合 |
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賃貸借条件の変更に伴い地代・家賃水準の変更を検討する場合 |
賃料の交渉の判断材料として鑑定評価書を利用される方々のお役に立ちたいと思っております。